週刊ダイヤモンドに掲載されなかった『経営者保険のカラクリ』

特許を取得した計算システムが暴いた『生命保険のウソ』
経営者保険に「加入した企業が損をするメカニズム」を徹底解明

まちがいだらけの「保険選び」
保険会社も金融庁も「生命保険の活用方法」を理解していない

生命保険の加入形態に「個人契約」と「法人契約」があり、その多くが、すでに生命保険に加入している。しかし、その殆どが、加入者の利益につながらない「間違った保険」を選んでしまっているとしたら、どうだろう。そのことを証明した人物がいる。ファイナンシャルプランナーの長嶺恒雄氏である。

同氏に虚言癖があるわけではない。それどころか、保険会社でさえ、ほとんど取得していない「特許」を立て続けに二つ取得している。一つは2016年に取得した「相続税対策支援システム」で、もう一つは、2017年3月に取得した「保険比較システム」である。

同氏は特許を取得した理由について「加入者に対して、今まで誰も伝えなかった生命保険の本来の利用価値を正しく伝えるため」という。

保険会社の社員時代を通じて40年のキャリアをもつ同氏の目には、それほどまでに日本の「保険加入の実態」は荒廃してしまって、加入者の利益につながらない保険が営営と販売されているというのだ。

そのことが一目瞭然に確認できる計算システムを考案して特許を取得したというのだ。そのことが事実かどうか、ここで法人契約の「経営者保険」について、加入者である企業の立場から検証してみることにした。

保険会社から企業の経営者に手渡されている保険設計書(見積書)には、契約後の経過年数に応じた払込保険料の累計額と解約金が記載された「明細表」がある。

そこに記載されている法人税の軽減額は「条件つき」で企業の役員が「保険に加入したときから役員を引退するまでの間」企業の経営が順調に推移して利益を出し続けることが前提になっている。

その前提条件が崩れた場合(決算の結果、利益が出ない年や赤字経営に陥った場合)は、法人税を納めないために、損金計上することで節税効果を得ることはできない。

実際に利益が出ていなくても、保険会社から提案された保障プランを受け入れて「経営者保険」に加入している企業は多い。

日本の企業で法人税を納めている割合は全体の3割程度であるために、残りの7割の企業は利益が出ていないか、または、赤字経営のために法人税を納めていないのが実情だ。

そのことからも「経営者保険」の保険料が、保険会社が説明するように「損金処理することで法人税が軽減できている企業」の割合が少ないことは容易に想像できる。

ここは百歩譲って(目を瞑って)企業が毎年利益を出し続けることができたと仮定して、保険会社が推奨する「経営者保険」が加入者の立場から見たときに、果たして「得なのか、損なのか」ファイナンシャルプランナーの長嶺氏が特許を取得した「相続税対策支援システム」(ばっちり君)と「保険比較システム」(すっきり君)の2つを用いて検証してみた結果、次のとおりだ。

ここで「個人契約」について触れておくが、個人契約の場合は、払い込む保険料が法人契約の経営者保険ほど高額でないために一般の個人保険に加入している人は「自分には関係ない」と思うかもしれないが「個人契約」であっても、問題の本質は「法人契約」と変わらないという。

問題の本質である根本原因は、保険会社が「定期保険」に偏った販売をしていることにあると長嶺氏は指摘する。

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