相続対策は、金持ちだけが行うべきものではない

「相続税を納める必要がなければ、相続対策をする必要はないか」と聞かれたならば、答えは「NO」です。それは、次の説明から理解していただけると思う。

母親は数年前に亡くなっていて、長男夫婦と子どもが実家で父親と一緒に同居していて、次男は結婚 して実家を離れて生活している。ある日のこと、70歳を過ぎた父親が「我が家には財産と言えるものは何もない。古くなったこの家と、家が建っている僅かな土地があるだけだ」と言った。

このような場合、父親が亡くなって「相続」が起きたときに長男は実家の家と土地を相続することができますが、次男が相続できる財産は何もないことになります。父親が70歳を過ぎてからでは相続対策の準備をするのは難しいですが、このようなケースが少なくないと思われる。

このようなことになる前に、父親が現役で働いていたときに生命保険に加入していたはずですので、そのとき加入していた保険が「終身保険」で、ある程度の保険金(理想を言えば1000万以上)であったならば、今と同じ状況でも相続に対する備えが全く違っていたのだ。

そのとき、父親が1000万円の終身保険に加入していたならば、父親が亡くなって支払われる保険金の「受取人」を次男にすることで、次男は保険金を相続できるために父親が亡くなった後で財産をめぐって兄弟が争う必要がなく円満に相続することができるのだ。

「相続」と聞くと、多くの人が、相続税を納める人にとって大事なもので「今ある財産を分け合うこと」だと思うかもしれませんが、それだけではなく生命保険を利用して「今ある財産の外から、もたらされる」ように することができるのです。そのために活用する保険は、確率的に考えたときに「定期保険」ではなく「終身保険」であることを、あらためて理解することが大事なのだ。